母が生きてる内に
私は父を失いました、どうにも助ける事が出来ませんでした、苦しい入院退院を何度もさせてしまいました、多分人生をやり直す事が出来ても同じ結果になったと思います。
『人生が二度あれば』若い頃はそう思っておりました、でも父は亡くなってしまいました、穏やかな最期でした、しかし母は離れた施設で暮らしておりますがまだ元気です、父への介護に後悔はないのですが、まだ、母は元気で生きているのです。
私を生んで育ててくれました、たくさんの記憶が断片的にではありますが、たくさん残っております、今は感謝の気持ちしかないのです。
母は父が亡くなった事を未だに理解していません、お通夜も葬式も納骨もたちあっているのです、悲しいですが、それが認知症という事です。
父が居なくなってから母と一緒に、一㎞先のホームセンターへよく二人でゆっくりと歩いて行きました、それが最期の母との楽しかった思い出になりそうです。
しかし今は手厚い介護を受けているので、歩かなくなり自力では車椅子に乗る事すら出来なくなったようです、しかし母は出された食事は残さず全部食べるようです。
認知症が進んだせいなのかあまり話さなくなりましたが、まだ、私と家内の顔だけは覚えています、我々夫婦が施設へ行くと満面の笑みをかえしてくれます、しかし名前はもう出て来なくなりました。
母さんずっと俺達がいるよ。