目に見えないものを信じろ
見えてるところはあまり重要ではない、寧ろ見えてないところに不備がある場合が多い、これがオーディオです。
例えば自分が使った事のないスピーカーをいただいたとします、その時貴方はどう考えますか?私は『とりあえず繋いでみよう』そして鳴らし聴いてみてから『さてどの様に鳴らそうか』そう考えます、そしてそのスピーカーが何故このように造られたのかそのコンセプトを調べます。
何かが自分の部屋に来てからその本質を知るまでに、やはり最低でも一ヶ月はかかります、当然自分が使ってるスピーカーと聴き比べながらになりますが、つくられたコンセプトが違うため鳴り方が違います、そのコンセプトをねじ曲げないように正しく導いていく事が大切です。
人は今まで使ってきたスピーカーの方が良いと感じます、しかしちがうのです、比べる対象にないのです、使ってきたものは自分が好きな方向へ知らず知らずの内に調整しているからです、別の魅力に気付かなければ何の進歩もないのです。
とはいえ人は今まで使ってきたものが比較対象となる為、仕方のない事なのかも知れませんが、それでもウエスタンスピリッツで実際聴かれたかたはこう仰います『本当にブログに書いてあるとおりに鳴っているし、実際目の前にして確かにこの設置の仕方が何故大切なのかがやっと分かった』と。
文章では伝えられないのが分かります、文章では私の顔も声も勝手に想像されます、そして実際目の前で見ていない、大きさやシステム全体が見えて来ないのです、それを上手くブログに書いてるつもりが上手く書けていないからだと思います。
しかし同じにしてみてもなかなかウエスタンスピリッツのような音の傾向にはなるが、同じには鳴らない、みなさん同じに語ります。
そしてどうしてもウエスタンスピリッツの機材に思考が動いてしまうのです、中には全く同じに機材を買い換えてしまう方もいらっしゃいます。
そして連絡が来ます『理想の音を聴かせていただいたので、機材も設置も全く同じにしたのにウエスタンスピリッツの音にならない』と。
当たり前です、まず部屋がちがう、床や壁天井その総てが絶妙に関係して今の鳴り方をしている訳で、私はその中でひたすら感じるままに自然と何かに導かれるように今の音を構築した、そうとしか答えられないのです。
部屋の響きや色々何かを感じる、これはやはり持って生まれたフィーリングのようなもの、しかしこれは言葉や文章ではお伝え出来ない感覚のようなもの、所謂食リポのようなものです。
これも言葉や文章になりませんが、いい音を鳴らす部屋は入った瞬間に分かります、使ってるシステムや部屋の広さの規模ではなく、あえて話すと空気と言ったら良いのか、あまり緊張感のないゆったりとした落ち着ける空気感があります。
しかしそのような部屋はどのような優秀な設計屋さんに依頼しても作れないのです、つまり出来上がってみないと分からないとお応えしておきましょう。
どんなに科学的に優れていてもいい音を鳴らす部屋は作れないのです、オーディオもそうです、どんなにお金をけて高価な機材を揃えても答は虚しく返ってくる。
『高いものと安いものを比べると高いものはやはりそれなりの理由と価値がある』そう話された方がいらっしゃいます、馬鹿な考え方だと思います、他に使ってるものとのバランスも大切ですし、必ずしも値段が総てではないのです。
そして人が使って音がいいからと同じものを揃える浅はかさに気付くべしです、人はそれぞれに与えられた部屋の中で違う方向から似たような方向へ鳴らすべく努力を重ねる、これがオーディオだと思います。
しかしあまりに飛び抜けた帯域バランスは良くありません、いい音とは端整な音の事、つまり自然であることです、普段歩いていて聴こえて来るような木の葉のすれる音や虫の声や、風の音これら総ては溶け込んでいてそこから浸透性をもって耳に聞こえます。
それらを突然聴いても驚くような音ではないですよね、いい部屋とはそれらを自然と楽に感じる事の出来るホッコリした雰囲気がある部屋の事です。
そしてウエスタンスピリッツの音とは時間をかけて色々順序よく重ねた結果なのです、強いて言えば私の心の中にある理想の音と言う事になります、同じものを違う部屋に持ち込んでも、私にも鳴らす事は出来ません。
見えてるものより見えないものを感じ、ひたすら違和感をなくしていく、その方法や方向は個人によって違います、しかし目で見えてるところばかり気にしてもあまり進歩はないと知るべしです。
オーディオは使っている機材のスペックを競う趣味ではありません、そしてフィーリングがとても大切です、しかしフィーリングだけはどうしてもセンスが必要になるため伝える事は不可能です。