五味康介
五味康介(ごみやすすけ)みなさんは(ごみこうすけ)と読む、今でもオーディオ界で伝説的な方である、しかし五味康介オーディオ巡礼と言う本を読むと、先ずは真空管アンプマッキントッシュのMC-275とタンノイオートグラフオリジナル、EMT930ばかりがクローズアップされる、しかし本当に五味さんのシステムは名機だったのか?私はそうは思わない、やはりあのシステムを鳴らした五味さんが凄いのだ、今になってもオーディオ巡礼は人気があります。
私も若い頃憧れ随分熟読していた、五味さんのオーディオの音は確かに素晴らしかったと語るのはずっと仲の良い元録音現場にいた同じ歳の友である、二本のスピーカーが消える、彼はその定位のしかたとその音の素晴らしさに今でもあこがれがある、しかしその定位のさせ方(セッティング)はオーディオ巡礼には詳しく書かれていない。
ご本人は書いたのだろうが、多分編集者にカットされてしまったのだと私は思っている、文章が素晴らしいが故に真空管アンプとタンノイオートグラフだけが伝説として残ってしまったのではないだろうか?オーディオショップにいるとお金持ちは、タンノイオートグラフのオリジナルを探している、見つかったとしても法外な値段がつく、人気があり数が少ないのでしかたがないが、オリジナルは日本に数台しかないと言われる、しかし果たしてそれが本当に英国製のタンノイオートグラフなのかは私には分からない。
そのセッティングの本当の難しさを誰も知らない、そしてマッキントッシュのMC-275も人気があり、本物は今やもうないと言った方がいいし、大したアンプだとは思えない、あってもやはりオリジナルは法外な値段がつく、しかしそれも本当にオリジナルかは私にも見分けがつかない、とにかくタンノイオートグラフを所有してもMC-275を所有しようと二本のスピーカーの存在は消えない。
五味さんは作家なのでその神秘的な表現にとても優れていた、しかし文面に出て来るレコードを購入して聴いてみても文面のように素敵には鳴らない、これが現実である、つまり聴いたものをどう品格を持って理解するのかそこの教養が違うのである。
そしてみんな勘違いしていった、しかし今、そんなに努力しなくても良い音が聴けるような時代になった、それでもその友と私は五味さんのオートグラフの音は『誰にも鳴らせない』とはっきりお伝えしておきたい。
それが分からないレベルの方には昔のウルトラCとお伝えするしかない、何せ五味康介さんはもうこの世の方ではないからである、システムは未だに何処かに存在するらしいのだが、整備もされてなくて実に酷い音だったらしい、それが既に答えなのだ。
真空管アンプでないと鳴らない、今はそんな事はない、真空管が何故製造されなくなったのか、良く考えてもらいたい、中国やロシアはまだ真空管を作っているがろくなものではない。
五味康介オーディオ巡礼を読まれその神秘的な情緒的な素敵な文面に感動したとして、あの音は誰にも鳴らせない、それは時代背景もある、もしタイムスリップ出来たとして真実は分からないと思う、五味さんは、はっきり言っている、オーディオは機材ではない、今あるものをじっくり聴いて、装置に手をかけるのはそれからでいい。
因みに五味さんがオートグラフに繋いでいたケーブルは、そんなに太くない赤黒ケーブルだったと友は話した、電気の知識もない五味さんに出来た事は、機材の清掃や真空管をたくさん所有して、それらを沢山のコレクションの中から探す事、しかも一つずつ灯した真空管に手をかざし選んでいた写真が載っている、あれがオーディオの真実だとしか私にはどうしても思えない。
私は師匠と慕っていた方にこう言われた『お前は定位力のあるケーブルを作れ!』その言葉が今でも頭から離れない、絶対無理だと思いながらもひたすら努力した、私はそれを実行しただけの事である、それがやっと身を結び完成したのはあれから30年後の今年、2020年11月の事だった。
師匠は五味さんの音の事をこう言った『あんなもの大した事はなかった』と、しかし私はそうは思えない、やはり昔友が聴いた五味さんのオートグラフはやはり素晴らしかった、私は友のその言葉を信じる。
五味さんは57歳でこの世を去った、私は来年62歳になります、五味さんの生きた時間を超えてしまいました。
しかしこの文章は本当にみなさんに伝わるだろうか…